第1 問題作成の基本的な考え方
⼤学⼊学共通テスト(以下「共通テスト」という。)は,⼤学(専⾨職⼤学及び短期⼤
学(専⾨職短期⼤学を含む。以下同じ。)を含む。以下同じ。)への⼊学志願者を対象に,
⾼等学校(中等教育学校の後期課程及び特別⽀援学校の⾼等部を含む。以下同じ。)の段
階における基礎的な学習の達成の程度を判定し,⼤学教育を受けるために必要な能⼒に
ついて把握するという⽬的の下,各⼤学が実施する試験等との組合せにより,⼤学教育
を受けるためにふさわしい能⼒・意欲・適性等を多⾯的・総合的に評価・判定すること
に資するよう,以下を基本的な考え⽅として作成する。
1. 大学への入学志願者が高等学校教育の成果として身に付けた,知識・技能
や思考力・判断力・表現力等を問う問題の作成
⼤学で学修するために共通して必要となる,⾼等学校の段階において⾝に付けた基
礎的な⼒を問う問題を作成する。
特に,⾼等学校学習指導要領において「主体的・対話的で深い学び」を通して育成
することとされている,深い理解を伴った知識の質を問う問題や,知識・技能を活⽤
し思考⼒・判断⼒・表現⼒等を発揮して解くことが求められる問題を重視する。その
際,⾔語能⼒,情報活⽤能⼒,問題発⾒・解決能⼒等を,教科等横断的に育成するこ
ととされていることについても留意する。
2. 各教科・科目の特質に応じた学習の過程を重視した問題の作成
1に⽰した知識・技能や思考⼒・判断⼒・表現⼒等を適切に評価できるよう,出題
科⽬の特質に応じた学習の過程を重視し,問題の構成や場⾯設定等を⼯夫する。
例えば,社会や⽇常の中から課題を発⾒し解決⽅法を構想する場⾯,資料やデータ
等を基に考察する場⾯,考察したことを整理して表現しようとする場⾯などを設定す
ることによって,探究的に学んだり協働的に課題に取り組んだりする過程を,問題作
成に効果的に取り⼊れる。
3. 多様な入学志願者の学力を適切に評価する問題の作成
2に⽰す問題作成の⼯夫を重視した上で,多様な⼊学志願者が⼗分に⼒を発揮し,
1に⽰す知識・技能や思考⼒・判断⼒・表現⼒等を適切に評価できる問題となるよう,
構成や内容,分量,表現等に配慮する。
その際,これまで良質な問題作成を⾏う中で蓄積した知⾒や,問題の評価・分析の
結果を問題作成に⽣かすようにする。
第2 問題の構成・内容等
1. 問題の構成・内容
「令和9年度⼤学⼊学者選抜に係る⼤学⼊学共通テスト出題教科・科⽬の出題⽅法
等」を踏まえた構成・内容とする。問題の作成に当たっては,「第1」に⽰す問題作成
の基本的な考え⽅を踏まえつつ,⾼等学校学習指導要領に準拠するとともに,⾼等学
校学習指導要領解説及び⾼等学校で使⽤されている教科書を基礎とし,特定の事項や
分野に偏りが⽣じないように留意する。
なお,「第1」の1に⽰した,知識・技能や思考⼒・判断⼒・表現⼒等を新たな場⾯
でも発揮できるかを問うため,教科書等で扱われていない資料等も扱う場合がある。
2. 問題の分量・程度
問題の分量は,試験時間に応じた適切なものとなるように配慮する。
出題教科・科⽬に選択科⽬,選択問題がある場合は,選択科⽬間及び科⽬内選択問
題間の平均得点率に著しい差が⽣じないように配慮する。
3. 問題の表現・体裁
障害等のある⼊学志願者を含め,全ての⼊学志願者が問題に取り組みやすくなるよ
う,問いかけの在り⽅や資料の提⽰の仕⽅,レイアウトの⼯夫等,問題の表現・体裁
について配慮する。
4. 出題形式
多肢選択式⼜は数値や記号等で解答する形式により出題する。なお,いわゆる連動
型の問題(連続する複数の問いにおいて,前問の答えとその後の問いの答えを組み合
わせて解答させ,正答となる組合せが複数ある形式)を出題する場合がある。
第3 問題作成における障害等のある入学志願者に対する配慮
問題の作成に当たっては,障害等のある⼊学志願者が情報を読み取ったり解答したり
する過程で想定される様々な困難さを考慮したものとする。
また,障害等のある⼊学志願者に対する合理的な配慮を⾏うため,受験上の配慮事項
を踏まえた問題(点字問題,拡⼤⽂字問題)の作成等を⾏う。
第4 出題教科・科目の問題作成の方針
各出題教科・科⽬の問題は,上記の第1〜第3に加え,以下に⽰す各出題教科・科⽬
の問題作成の⽅針に基づき作成する。
1.国語
『国語』
○ ⾔語を⼿掛かりとしながら,⽂章の内容を多⾯的・多⾓的な視点から解釈したり,
⽬的や場⾯等に応じて,情報を的確に理解したり,より効果的な表現に向けて検討,
⼯夫したりする⼒などを求める。近代以降の⽂章(論理的な⽂章や実⽤的な⽂章,⽂
学的な⽂章),古典(古⽂,漢⽂)を題材とし,⾔葉による記録,要約,説明,論述,
話合い等の⾔語活動を重視する。
問題の作成に当たっては,題材の意義や特質を⽣かした出題とするとともに,⼤
問ごとに⼀つの題材で問題を作成するだけでなく,異なる種類や分野の⽂章などを
組み合わせた,複数の題材による問題を含めて検討する。
2.地理歴史
『地理総合,地理探究』,『地理総合/歴史総合/公共』の「地理総合」部分
○ 地理に関わる事象を多⾯的・多⾓的に考察,構想する過程を重視する。
地理的な⾒⽅・考え⽅を働かせて,地理に関わる事象の意味や意義,特⾊や相互
の関連を,概念などを活⽤して多⾯的・多⾓的に考察したり,地理的な課題の解決
に向けて構想したりする⼒を求める。『地理総合,地理探究』では,「地理総合」で
学習したことと,それを基に「地理探究」で学習したことを問う。
問題の作成に当たっては,地域を様々なスケールから捉える問題や,地理的な諸
事象に対して知識を基に推論したり,資料を基に検証したりする問題,系統地理と
地誌の両分野を関連付けた問題などを含めて検討する。
『歴史総合,日本史探究』,『歴史総合,世界史探究』,『地理総合/歴史総合/
公共』の「歴史総合」部分
○ 歴史に関わる事象を多⾯的・多⾓的に考察,構想する過程を重視する。
⽤語などを含めた個別の事実等に関する知識のみならず,歴史に関わる事象の意
味や意義,特⾊や相互の関連等について,歴史的な⾒⽅・考え⽅を働かせながら,
概念などを活⽤して多⾯的・多⾓的に考察したり,課題の解決を視野に⼊れて構想
したりする⼒を求める。『歴史総合,⽇本史探究』及び『歴史総合,世界史探究』で
は,「歴史総合」で学習したことと,それを基に「⽇本史探究」⼜は「世界史探究」
で学習したことを問う。
問題の作成に当たっては,事象に関する深い理解を伴った知識を活⽤して,例え
ば,教科書等で扱われていない資料であっても,そこから得られる情報と授業で学
んだ知識を関連付ける問題や,仮説を⽴てて資料に基づき根拠を⽰したり検証した
りする問題,時代や地域を超えて特定のテーマについて考察する問題などを含めて
検討する。
3.公民
『公共,倫理』
○ 「公共」は,⼈間と社会の在り⽅についての⾒⽅・考え⽅を働かせ,現実社会の
諸課題の解決に向け,選択・判断の⼿掛かりとなる考え⽅や公共的な空間における
基本的原理を活⽤して,多⾯的・多⾓的に考察したり構想したりする過程を重視す
る。
基礎的・基本的な概念や理論,考え⽅等を活⽤し,⽂章や資料を的確に読み解き
ながら考察する⼒を求める。
問題の作成に当たっては,現実社会の諸課題について理解したり考察したりする
ために必要な概念や知識に関わる問題,多様な資料を⽤いて考察する問題などを含
めて検討する。
○ 「倫理」は,⼈間としての在り⽅⽣き⽅についての⾒⽅・考え⽅を働かせ,現代
の倫理的諸課題を⾒いだし,その解決に向け,多⾯的・多⾓的に考察したり,公正
に判断し構想したりする過程を重視する。
「公共」での学習などを踏まえ,倫理に関する概念や理論についての理解を深め,
それらを活⽤して,考察する⼒を求める。
問題の作成に当たっては,倫理的課題の解決に向け,先哲の思想に関する原典
など多様な資料や他者との対話等を⼿掛かりにして,批判的に吟味して思索を深め
たり,様々な⽴場から考察したりする問題などを含めて検討する。
『公共,政治・経済』
○ 「公共」は,⼈間と社会の在り⽅についての⾒⽅・考え⽅を働かせ,現実社会の
諸課題の解決に向け,選択・判断の⼿掛かりとなる考え⽅や公共的な空間における
基本的原理を活⽤して,多⾯的・多⾓的に考察したり構想したりする過程を重視す
る。
基礎的・基本的な概念や理論,考え⽅等を活⽤し,⽂章や資料を的確に読み解き
ながら考察する⼒を求める。
問題の作成に当たっては,現実社会の諸課題について理解したり考察したりする
ために必要な概念や知識に関わる問題,多様な資料を⽤いて考察する問題などを含
めて検討する。
〇 「政治・経済」は,社会の在り⽅についての⾒⽅・考え⽅を働かせ,現代におけ
る⽇本及び国際社会の諸課題の解決に向け,政治と経済を関連させて,多⾯的・多
⾓的に考察したり構想したりする過程を重視する。
「公共」での学習などを踏まえ,「政治・経済」の学習によって深められた理解を
基に政治や経済の基本的な概念や理論等を活⽤して考察する⼒を求める。
問題の作成に当たっては,各種統計などの多様な資料,様々な⽴場に⽴って話し
合う場⾯等から必要な情報を読み取り,考察する問題などを含めて検討する。
『地理総合/歴史総合/公共』の「公共」部分
○ 「公共」は,⼈間と社会の在り⽅についての⾒⽅・考え⽅を働かせ,現実社会の
諸課題の解決に向け,選択・判断の⼿掛かりとなる考え⽅や公共的な空間における
基本的原理を活⽤して,多⾯的・多⾓的に考察したり構想したりする過程を重視す
る。
基礎的・基本的な概念や理論,考え⽅等を活⽤し,⽂章や資料を的確に読み解き
ながら考察する⼒を求める。
問題の作成に当たっては,現実社会の諸課題について理解したり考察したりする
ために必要な概念や知識に関わる問題,多様な資料を⽤いて考察する問題などを含
めて検討する。
4.数学
『数学Ⅰ,数学A』,『数学Ⅰ』,『数学Ⅱ,数学B,数学C』
○ 数学の問題発⾒・解決の過程を重視する。事象を数理的に捉え,数学の問題を⾒
いだすこと,解決の⾒通しをもつこと,⽬的に応じて数,式,図,表,グラフなど
の数学的な表現を⽤いて処理すること,及び解決過程を振り返り,得られた結果を
意味づけたり,活⽤したり,統合的・発展的に考察したりすることなどを求める。
問題の作成に当たっては,数学における概念や原理を基に考察したり,数学のよ
さを認識できたりするような題材等を含め検討する。例えば,⽇常⽣活や社会の事
象など様々な事象を数理的に捉え,数学的に処理できる題材,教科書等では扱われ
ていない数学の定理等を既習の知識等を活⽤しながら導くことのできるような題材
が考えられる。
5.理科
『物理基礎/化学基礎/生物基礎/地学基礎』
○ 科学の基本的な概念や原理・法則に関する理解を基に,理科の⾒⽅・考え⽅を働
かせ,⾒通しをもって観察,実験を⾏うことなどを通して,⾃然の事物・現象を科
学的に探究する過程を重視する。
問題の作成に当たっては,基本的な概念や原理・法則の理解を問う問題とともに,
⽇常⽣活や社会の⾝近な課題等について科学的に探究する問題や,得られたデータ
を整理する過程などにおいて数学的な⼿法等を⽤いる問題などを含めて検討する。
『物理』,『化学』,『生物』,『地学』
○ 科学の基本的な概念や原理・法則に関する深い理解を基に,理科の⾒⽅・考え⽅
を働かせ,⾒通しをもって観察,実験を⾏うことなどを通して,⾃然の事物・現象
の中から本質的な情報を⾒いだしたり,課題の解決に向けて考察・推論したりする
など,科学的に探究する過程を重視する。
問題の作成に当たっては,基本的な概念や原理・法則の理解を問う問題とともに,
観察,実験,調査の結果などを数学的な⼿法等を活⽤して分析し解釈する⼒を問う
問題や,受験者にとって既知ではないものも含めた資料などに⽰された事物・現象
を分析的・総合的に考察する⼒を問う問題などを含めて検討する。その際,基礎を
付した科⽬の内容との関連も考慮する。
6.外国語
『英語』
○ ⾼⼤接続改⾰の中で,⾼等学校学習指導要領の趣旨を踏まえ,各⼤学の個別選抜
や総合型選抜等を含む⼤学⼊学者選抜全体において,「聞くこと」「読むこと」「話す
こと」「書くこと」の総合的な英語⼒を評価することが求められている。共通テスト
「外国語(英語)」は,「リーディング」形式と「リスニング」形式の問題を通して,
⽂字や⾳声による試験の特徴を⽣かしながら,以下のように可能な限り総合的な英
語⼒を評価する。
・コミュニケーションを⾏う⽬的や場⾯,状況などに応じて,情報や考えなどの概
要や要点,詳細,話し⼿や書き⼿の意図などを的確に理解する⼒を引き続き重視
する。
・併せて,⾼等学校において,英語を「聞くこと」・「読むこと」・「話すこと[やり
取り],[発表]」・「書くこと」を統合した⾔語活動の充実が図られることを踏まえ,
情報や⾃分の考えを適切に表現したり伝え合ったりするために,理解した情報や
考えを整理したり,何をどのように取り上げるかなどを判断したりする⼒を重視
する。
・また,コミュニケーションを⽀える基盤となる⾳声や語彙,表現,⽂法等に関す
る知識や技能についても,上記の⼒を問うことを通して引き続き評価する。
○ 「リーディング」,「リスニング」ともに,共通テストの問題のレベルは,出題範
囲としている科⽬(「英語コミュニケーションⅠ」,「英語コミュニケーションⅡ」及
び「論理・表現Ⅰ」)の⽬標及び内容(⾔語活動の例,⾔語の使⽤場⾯や働きの例な
ど)等に対応したものとする。その際,多様な⼊学志願者の学⼒を適切に識別でき
るよう,引き続き,CEFR の概ね A1〜B1 レベルを⽬安として問題のテクスト,使
⽤する語彙,タスクなどを設定し,問題を作成することとする。
○ 「リーディング」の表記については,現在国際的に広く使⽤されているアメリカ
英語に加えて,場⾯設定によってイギリス英語を使⽤することもある。
○ 「リスニング」の⾳声については,多様な話者による現代の標準的な英語を使⽤
する。また,読み上げ回数については,1回読みと2回読みの両⽅の問題を含む構
成で実施することとする。
英語以外の外国語(『ドイツ語』,『フランス語』,『中国語』,『韓国語』)
○ 英語以外の外国語については,『筆記』テストを課し,「リスニング」テストは実
施しないが,以下のように可能な限り外国語によるコミュニケーション⼒を評価す
る。
・コミュニケーションを⾏う⽬的や場⾯,状況などに応じて,情報や考えなどの概
要や要点,詳細,話し⼿や書き⼿の意図などを的確に理解する⼒を引き続き重視
する。
・併せて,⾼等学校において,「聞くこと」・「読むこと」・「話すこと[やり取り],
[発表]」・「書くこと」を統合した⾔語活動の充実が図られることを踏まえ,情報
や⾃分の考えを適切に表現したり伝え合ったりするために,理解した情報や考え
を整理したり,何をどのように取り上げるかなどを判断したりする⼒を重視する。
・また,コミュニケーションを⽀える基盤となる知識や技能についても,引き続き
評価する。
○ 問題は,⾼等学校学習指導要領「外国語」の⽬標及び内容等に対応したものとし,
CEFR 等を参考に作成する。
また,⼤学教育を受けるために必要な能⼒を把握できる問題とするが,⾼等学校
において英語以外の外国語を初めて履修する者もいることも考慮し,多様な⼊学志
願者の学⼒を適切に識別できるようにする。
7.情報
『情報Ⅰ』
○ ⽇常的な事象や社会的な事象などを情報とその結び付きとして捉え,情報と情報
技術を活⽤した問題の発⾒・解決に向けて探究する活動の過程,及び情報社会と⼈
との関わりを重視する。
問題の作成に当たっては,社会や⾝近な⽣活の中の題材,及び受験者にとって既
知ではないものも含めた資料等に⽰された事例や事象について,情報社会と⼈との
関わりや情報の科学的な理解を基に考察する⼒を問う問題などとともに,問題の発
⾒・解決に向けて考察する⼒を問う問題も含めて検討する。
○ プログラミングに関する問題を出題する際のプログラム表記は,授業で多様なプ
ログラミング⾔語が利⽤される可能性があることから,受験者が初⾒でも理解でき
る⼤学⼊試センター独⾃のプログラム表記を⽤いる。
独立行政法人 大学入試センターからの抜粋

