個別指導塾について考える

「個別指導」と書いてあれば、本当に一人ひとりを見てもらえるのか?

近年、「個別指導塾」という言葉を掲げる学習塾が非常に増えました。

しかし、同じ「個別指導」という名称でも、実際の指導方法は塾によって大きく異なります。

講師1人に対して生徒1人の「1対1」。
講師1人に対して生徒2人の「1対2」。
そして最近では、1人の講師が3人以上の生徒を担当する形式や、生徒がそれぞれプリントや教材を進め、分からないところがあれば質問する形式も「個別指導」と呼ばれることがあります。

では、そもそも個別指導とは何なのでしょうか。

今回は、長年子どもたちを指導してきた立場から、「本来の個別指導のあり方」について考えてみたいと思います。


個別指導は「人数が少ない授業」というだけではない

個別指導というと、「先生1人に対して生徒が1人または2人」という人数の違いに目が向きがちです。

もちろん、講師1人が担当する人数は非常に重要です。

しかし、本質はそこだけではありません。

私が考える個別指導とは、

「その子が、どのように問題を考え、どこで間違え、何が原因でできなくなっているのかまで見る指導」

です。

例えば数学の問題で、答えが「5」だったとします。

生徒が「5」と答えて正解したからといって、本当に理解できているとは限りません。

途中式を見れば、

「考え方は正しい」
「途中で符号を間違えている」
「たまたま答えが合った」
「公式は覚えているが意味は理解していない」

など、さまざまな状態があります。

ところが、完成した答えだけを見てしまうと、すべて「○」になってしまいます。

ここに、個別指導の重要性があります。


「正解した」と「理解した」は違う

私は授業をしていて、この違いを非常に大切にしています。

正解した=理解している

とは限らないからです。

反対に、間違えたからといって、まったく理解できていないとも限りません。

考え方は完璧なのに、最後の計算だけ間違えたのかもしれません。

問題文の読み違いかもしれません。

符号を一つ書き忘れただけかもしれません。

逆に正解していても、「なぜそうしたの?」と聞いてみると説明できないことがあります。

たまたま正解した問題を「理解できている」と判断して次へ進んでしまえば、その穴は残ります。

そして定期テストや北辰テスト、入試になったときに、同じような問題で再び間違えることになります。

だからこそ、個別指導では答えを見るだけではなく、答えにたどり着くまでの過程を見る必要があるのです。


本当は「ノート」こそ見なければならない

個別指導で私が特に重要だと考えているのが、ノートです。

どのように式を書いているのか。

途中式を省略していないか。

文字の大きさは適切か。

問題番号を書いているか。

どこで計算しているのか。

間違えた問題をどのように直しているのか。

こうしたところを見ると、その子の勉強の仕方がかなり分かります。

例えば、計算ミスが多い生徒に「もっと注意しなさい」と言っても、それだけではなかなか直りません。

なぜミスが起こったのかを見なければならないからです。

途中式を書いていない。

文字が重なっている。

イコールの位置がバラバラになっている。

計算するスペースが狭すぎる。

暗算に頼りすぎている。

こうした原因が隠れていることがあります。

つまり、

「計算ミスが多い」という結果を注意するのではなく、「なぜ計算ミスが起こるのか」を見つける。

これこそ、個別指導だからできることだと考えています。


勉強以前の「書き方」まで見る

さらに細かく言えば、字の書き方を見ることもあります。

特に小学生の場合、漢字の止め・はね・払いなども含めて、丁寧に書く習慣をつけることは大切です。

そして意外に見落とされるのが、文房具がその子に合っているかどうかです。

例えば筆圧が弱く、シャープペンシルでは文字が薄くなってしまう子がいます。

その場合、単純に、

「もっと濃く書きなさい」

と言えばよいのでしょうか。

私は、それだけではないと思っています。

鉛筆に変えてみる。
芯の濃さを変えてみる。
握りやすい筆記具を試してみる。

その子に合った道具を考えることも、一つの方法です。

勉強は毎日のことです。

だからこそ、小さな「やりにくさ」を取り除くことが、長い目で見ると大きな違いにつながります。


「先生が近くにいる」と「先生が見ている」は違う

個別指導を選ぶ際、ぜひ確認していただきたいことがあります。

それは、

「先生が近くにいるか」ではなく、「先生がその子の学習過程を見ているか」

ということです。

例えば複数の生徒がそれぞれプリントを解き、分からなくなったら手を挙げる。

あるいは、問題を解き終わったら講師のところへ持っていく。

こうした形式にも、自分で考える時間を確保できるなどの利点はあります。

ただし、私たちが考える個別指導とは少し違います。

質問できる子はいいのです。

問題は、**「何が分からないのか分からない子」**です。

そして実際には、こうした生徒は少なくありません。

自分から質問することが苦手な子もいます。

だからこそ講師側がノートや手の動きを見ながら、

「ここで止まっているな」

「この式の意味を理解していないな」

「さっきと同じ間違いをしているな」

と気づく必要があります。

生徒から質問が出るのを待つだけではなく、講師側からつまずきを発見する。

これも個別指導の大切な役割です。


講師が頻繁に変わることの問題

もう一つ、私が個別指導で重要だと考えているのが、授業の連続性です。

前回何を学習したのか。

どこで間違えたのか。

どこまで理解できるようになったのか。

今回何を確認するのか。

次回どこへ進むのか。

この流れがつながっていることが大切です。

「前回→今回→次回」という一本の線ができて初めて、その子に合わせた指導になります。

担当する講師が頻繁に変わり、十分な情報共有もされていなければ、

「これ、前にもやった」

ということが起こったり、反対に、本当は復習が必要なのに次へ進んでしまったりする可能性があります。

もちろん、複数の講師が担当すること自体が悪いわけではありません。重要なのは、生徒の理解度や指導内容がきちんと共有され、授業に連続性が保たれているかどうかです。


進学個別アースリングが「姿勢」まで見る理由

私たち進学個別アースリングでは、さらに勉強しているときの姿勢も見ています。

なぜ学習塾が姿勢まで見るのでしょうか。

長時間机に向かっていると、

首が前に出る。
背中が丸くなる。
机に覆いかぶさる。
頬杖をつく。

こうした姿勢になる子は珍しくありません。

本人にとって無理のある姿勢で長時間勉強を続けることは、集中しやすい学習環境とは言えません。

そこで、

「もう少し椅子を引こう」

「ノートの位置を変えてみよう」

「背中を丸めすぎないようにしよう」

といったところまで確認します。

私たちは、単に問題の答えを教えるのではなく、その子が勉強しやすい状態そのものを一緒につくることも個別指導の一部だと考えています。


個別指導塾を選ぶときに見てほしいこと

保護者の方が個別指導塾を検討するとき、「1対何人か」「料金はいくらか」「家から近いか」だけではなく、ぜひ実際の授業の中身を確認してみてください。

特に重要なのは、

  • 講師は生徒の横で学習過程を見ているか
  • 答えだけでなく途中式やノートまで確認しているか
  • 間違えた原因まで分析しているか
  • 生徒から質問するのを待つだけになっていないか
  • 前回・今回・次回の授業がつながっているか
  • 担当が変わっても学習状況が共有されているか
  • その子に合った勉強方法まで指導しているか

という点です。

個別指導塾だから安心なのではありません。

「何を個別に見ているのか」こそが重要なのです。


個別指導の目的は「その子を知ること」

私は、個別指導の最大の価値は、一人ひとりを深く見ることにあると思っています。

成績表だけを見るのではありません。

テストの点数だけを見るのでもありません。

その子が問題を解いている姿を見る。

ノートを見る。

鉛筆の動きを見る。

間違え方を見る。

考えている時間を見る。

そして、ときには姿勢や文房具まで見る。

そこまで見て初めて、

「なぜ、この子はこの問題を間違えるのだろう」

という本当の原因が見えてきます。

できないことを指摘するだけなら簡単です。

大切なのは、なぜできないのかを一緒に見つけ、できるようになる方法を考えることです。

そして、一度できたから終わりではなく、次の授業でも確認する。

できなければもう一度戻る。

できるようになったら次へ進む。

その積み重ねが、本当の意味での個別指導ではないでしょうか。


「個別指導」という名前ではなく、中身を見てほしい

現在は、さまざまな形の個別指導塾があります。

どの形式にも、それぞれの特徴やメリットがあります。

だからこそ、「個別指導」という看板だけで判断するのではなく、実際にどのような授業が行われているのかを見ていただきたいと思います。

進学個別アースリングが目指しているのは、

答えを教える個別指導ではなく、学び方そのものを育てる個別指導です。

ノートの取り方から、途中式、間違え方、勉強方法、姿勢まで。

一人ひとり違うからこそ、一人ひとりを見る。

それが、私たちの考える「個別指導」です。