「今回のテストは、全体的に点数が下がってしまいました」
「心配なので、塾で5教科すべて教えてもらいたいです」
最近、このようなご相談をいただきます。
お子様のテスト結果を見て、「早く何とかしてあげたい」と思うのは、保護者様として自然なことです。
ただ、私は30年間の塾指導で何千人もの生徒を見てきた経験から、こうしたときこそ、まず1教科、多くても2教科から取り組むことを大切にしています。
授業を増やす前に、整える必要があるものがあるからです。
全教科の不振には、共通する原因が隠れている
複数の教科で成績が下がっているとき、私はまず、日頃の勉強の進め方を確認します。
学校ワークは、答えを埋めて終わりになっていないか。間違えた問題を、自分でもう一度解いているか。テスト前だけ勉強して、普段の復習が止まっていないか。
もちろん、テストの難しさや体調なども確認します。そのうえで、教科をまたいで同じようなつまずきがあるなら、勉強のやり方そのものを身につけることが必要だと考えます。
そこを変えないまま授業だけ増やしても、本人は何をどう勉強すればよいか分からないままです。
5教科を始めることは、異なる習い事を同時に始めることに似ている
数学、英語、国語、理科、社会。
同じ「勉強」という言葉でまとめられていますが、それぞれ取り組む内容も練習方法も違います。
数学なら、考え方を理解し、自分で式を書いて解く練習が必要です。英語なら、単語や語順を覚え、文の中で使えるようにする練習が必要になります。
理科と社会も、覚えることが多いという共通点はありますが、別々の学習時間が必要です。理科には計算や実験の考察があり、社会には資料の読み取りや出来事のつながりがあります。
習い事に例えるなら、ピアノ、水泳、バレエ、そろばんを一度に始めるようなものです。
通う時間だけでなく、それぞれを身につけるための練習時間も必要になります。勉強の習慣がまだ整っていないお子様に、これらを一度に求めてよいのでしょうか。
塾に通う時間と、自分で身につける時間は両方必要
それまで塾に通っていなかったお子様が、突然、週3回・5教科の授業を始めたとします。
授業に加えて、移動時間や宿題も増えます。学校や部活動で疲れているところに新しい予定が入り、自分で復習する余裕がなくなることもあります。
私が心配しているのは、そこで、
「今日は塾に行ったから、勉強した」
と、本人の中で学習が完了してしまうことです。
説明を聞いて分かることと、何も見ずに自分で解けることには違いがあります。その間を埋めるために、自分で手を動かす時間が欠かせません。
授業を増やすときには、復習する時間も確保できるかを一緒に考える必要があります。
まず1~2教科で、勉強の進め方を身につける
私が勧めたいのは、まず取り組む教科を絞り、その教科で学習の流れをつくることです。
例えば数学なら、次のように進めます。
- 授業で考え方を理解する。
- 自分の力で類題を解く。
- 間違えた原因を確認する。
- 解説を閉じて、もう一度解く。
- 日を空けて、再び解けるか確認する。
この流れを、本人が実行できる量から始めます。
「何をすればよいか分からない」という状態から、「今日はこの問題を、自分で解けるようにする」という状態に変えていくのです。
その積み重ねによって、点数だけでなく、宿題への取り組み方や、間違いに向き合う姿勢の変化も見ていきます。
「やれば変わる」という手応えを、次の教科につなげたい
勉強しているつもりなのに結果が出ない。それが何教科も続くと、
「頑張っても意味がない」
「自分は勉強ができない」
と感じてしまうお子様もいます。
だからこそ、最初に一つ、手応えをつくりたいのです。
以前は解けなかった問題が解けた。自分で間違いに氣づけた。数日後にも解き方を覚えていた。
そうした経験を重ね、学習の進め方が身についてきたところで、次の教科へ広げていきます。
なお、塾で受講する教科を絞ることは、学校のほかの教科を勉強しなくてよいという意味ではありません。学校の授業や提出物には取り組みながら、塾では特に支援が必要な1~2教科に力を集中させるという考え方です。
焦って増やす前に、続けられる形をつくる
30年間、多くの生徒を指導してきて、私は「授業を増やすこと」と「成績を伸ばすこと」は、そのまま同じではないと感じています。
大切なのは、そのお子様が今、何につまずいているのか。そして、授業で学んだことを自分の力に変える時間と方法があるかどうかです。
進学個別アースリングでは、全教科の成績が心配なときこそ、答案や日頃の学習状況を確認し、まずどの教科から立て直すかを一緒に考えます。
まず1教科、多くても2教科。
そこで勉強の進め方を身につけ、「自分でもできる」という手応えを次につなげる。それが、私の大切にしている指導方針です。
