偏差値・医学部・看護学部・入試・学費・地域医療・国家試験まで徹底解説
自治医科大学は、栃木県下野市にある私立の医科大学です。
設置されているのは、
医学部 医学科
看護学部 看護学科
の2学部ですが、一般的な私立医科大学とは大きく異なる特徴を持っています。
特に医学部は、全国の地域医療を担う医師を養成する目的で1972年に設立されました。学生は各都道府県から選抜され、卒業後は原則として出願した都道府県へ戻り、地域医療に従事します。2025年3月までに5,113人が医学部を卒業し、全国各地で地域医療を支えています。
さらに2026年実施の第120回医師国家試験では、自治医科大学医学部の合格率が100%で全国1位となりました。1978年から2026年までの49年間でも、全国トップの合格率を23回記録しています。
一方、看護学部では、看護師・保健師は全員が国家試験受験資格を取得でき、さらに選考によって助産師国家試験受験資格も目指せることが大きな特徴です。
この記事では、
「自治医科大学の偏差値は?」
「医学部の学費が実質的に軽減されるって本当?」
「卒業後9年間の義務とは?」
「都道府県ごとに入試をするの?」
「看護学部では保健師・助産師も目指せる?」
といった疑問に答えながら、自治医科大学の特徴、偏差値、医学部・看護学部、2027年度入試、修学資金、国家試験、卒業後の進路、受験対策まで詳しく解説します。
自治医科大学とは?
自治医科大学の所在地は、
栃木県下野市薬師寺3311-1
です。医学部・看護学部のほか、大学院、自治医科大学附属病院などが同一エリアに集まり、医学・看護教育と高度医療を結びつけた環境が形成されています。
自治医科大学が設立された背景には、都市部と地方・へき地との医師偏在があります。
医療機関が多い都市部に対して、山間地域・離島・人口の少ない地域では医師の確保が難しいケースがあります。
そこで自治医科大学では、
地域医療に進んで携わる医師
幅広い疾患を診られる総合医
を養成することを重要な使命としています。
この「地域医療」という明確な使命こそ、自治医科大学を理解するうえで最も重要なポイントです。
自治医科大学の学部
学部構成は非常にシンプルです。
| 学部 | 学科 | 修業年限 | 主な進路 |
|---|---|---|---|
| 医学部 | 医学科 | 6年 | 医師 |
| 看護学部 | 看護学科 | 4年 | 看護師・保健師・助産師など |
しかし、どちらも医療専門職を育成する高度な専門教育を行うため、「学部数が少ない=学びの幅が狭い」ということではありません。
むしろ、
医療
地域
患者の生活
を中心として、専門性の高い教育を行う大学です。
自治医科大学医学部の最大の特徴|都道府県単位で学生を選抜
自治医科大学医学部は、通常の私立医学部とは入試制度から大きく異なります。
2027年度の募集人員は医学科100名とされ、全都道府県からそれぞれ2名または3名ずつ、合計100名を選抜する予定です。なお、2026年8月時点では臨時定員増について認可申請中です。
つまり全国一括で、
「成績上位100人」
を単純に選ぶわけではありません。
各都道府県から地域医療を担う医師候補を選抜する仕組みです。
一般選抜の第1次試験も各都道府県で実施され、願書は原則として第1次試験地となる都道府県庁の担当課へ提出します。複数都道府県への出願は認められていません。
この点は自治医科大学医学部の入試を考えるうえで必ず理解しておきましょう。
「自治医科大学=地域枠」と考えてよい?
一般的な医学部には「地域枠」があります。
自治医科大学も卒業後に地域医療へ従事する仕組みを持つため、地域枠と似ている部分があります。
ただし、自治医科大学は大学そのものが地域医療を担う医師の養成を目的として設立されている点が大きな違いです。
したがって、
「学費が軽減されるから受験する」
だけでは、大学の設立目的と合いません。
自分の都道府県に戻り、地域医療へ携わる意思があるか
を真剣に考えてから受験する必要があります。
卒業後9年間の勤務とは?
自治医科大学医学部について検索すると、
「自治医科大学 9年間」
「自治医科大学 義務年限」
という言葉を目にすることがあります。
医学部卒業生は原則として卒業後すぐ出身都道府県へ戻り、知事の指示に基づいて地域の病院・診療所・保健所などで勤務します。
修学資金を6年間受けた場合、勤務期間は一般的に9年間です。
さらに、この9年間のうち原則として4~5年間はへき地等で勤務します。
ただし、9年間ずっと同じ診療所へ勤務するわけではありません。
初期臨床研修や後期研修を組み合わせながら、
地域医療
総合診療
専門研修
などを経験し、医師としての能力を高めます。
自治医科大学医学部の「学費が無料」は本当?
自治医科大学についてよく検索されるのが、
「自治医科大学 学費 無料」
です。
正確には、単純な「授業料無料」ではありません。
医学部では修学資金貸与制度があり、入学者全員に学生納付金相当額と入学時学業準備費が貸与されます。
そのため、入学時に入学金や授業料などを自分で準備する必要はありません。
学生納付金の内訳には、
入学金100万円
授業料年間180万円
実験実習費年間50万円
施設設備費年間130万円
などがあります。
さらに入学時には、教科書などの購入を支援する学業準備費40万円も貸与されます。
9年間勤務すると修学資金の返還が免除
重要なのはここです。
卒業後、出願した都道府県へ戻り、知事が指定する公立病院等で所定期間勤務すると、修学資金の返還が免除されます。
6年間貸与を受けた場合には、一般的に9年間勤務することで返還免除の条件を満たします。
そのため一般には、
「自治医科大学医学部は実質的に学費負担が非常に小さい」
と理解されています。
ただし、条件を満たさず途中で義務を離れた場合などには、貸与額に所定の利率を加えた金額を一括返還する必要があります。
したがって、
「私立医学部なのに学費が安いから」
という理由だけで志望するのは適切ではありません。
医学部は全寮制
自治医科大学医学部では、学生生活にも特徴があります。
医学部には全寮制が採用されています。
全国47都道府県から学生が集まり、生活を共にすることで、
地域の違い
医療環境の違い
価値観の違い
を知る機会にもなります。
将来、地域医療では医師だけで仕事が完結するわけではありません。
看護師、薬剤師、行政、介護職、地域住民など、多くの人と協働します。
寮生活も、人間関係や協調性を学ぶ一つの場と考えることができます。
医師国家試験合格率100%・全国1位
自治医科大学医学部が高い評価を受ける理由の一つが、医師国家試験合格実績です。
2026年3月に発表された第120回医師国家試験では、
合格率100%
を記録し、全国1位となりました。
さらに卒業生が初めて医師国家試験を受験した1978年から2026年までの49年間で、全国トップの合格率を23回記録しています。
医学部では6年間一貫教育を採用し、卒業時に総合医として必要な幅広い臨床能力を身につけることを目標としています。
自治医科大学医学部の偏差値
2027年度入試向け河合塾Kei-Netでは、医学部医学科一般選抜のボーダー偏差値は、
67.5
です。
私立医学部の中でも高い学力が要求される大学です。
しかも自治医科大学では単に学科試験で高得点を取ればよいわけではありません。
地域医療へ取り組む意欲
医師としての適性
も重要です。
2027年度医学部一般選抜
2027年度一般選抜では、第1次試験を各都道府県で実施します。
選考は、
第1次試験
- 英語
- 数学
- 理科2科目
- 面接
第2次試験
- 英語
- 数学
- 面接
などを組み合わせて行います。
数学は数学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・A・B・Cまで幅広く、理科は物理・化学・生物から2科目を選択します。
医学部志望者は、
英語・数学・理科2科目を高いレベルで仕上げる
必要があります。
面接が非常に重要
自治医科大学医学部では、面接も重要です。
なぜなら、この大学では入学後6年間だけではなく、その後の地域医療まで含めて学生を選抜しているからです。
面接では、
「なぜ医師なのか」
「なぜ自治医科大学なのか」
「地域医療とは何だと考えるか」
「へき地医療へ携わる意思はあるか」
「卒業後に自分の都道府県へどう貢献したいか」
まで具体的に考えておきましょう。
単なる「医師になりたい」という志望理由から、**「どこで、誰を、どのように支える医師になりたいのか」**まで深めることが重要です。
看護学部|看護師・保健師・助産師を目指せる
自治医科大学には看護学部看護学科もあります。
大きな特徴は、
看護師国家試験受験資格:全員
保健師国家試験受験資格:全員
を取得できることです。
さらに選考によって、
助産師国家試験受験資格
も目指せます。
一般的な看護系大学では、保健師課程が選択制・人数制限ありとなっているケースも多いため、全員が看護師+保健師の両方を目指せることは自治医科大学看護学部の大きな特徴です。
1年次から実習|地域看護にも強い
看護学部では1年次から実習を行い、段階的に看護実践能力を身につけます。
実習先には自治医科大学附属病院などの高度医療施設だけでなく、地域の保健・医療・福祉施設も含まれています。
さらに年間スケジュールには**「へき地の生活と看護」**という学習も設定されています。
医学部だけでなく、看護学部でも地域医療・地域ケアを重視していることが分かります。
看護学部の偏差値
河合塾Kei-Netの2027年度入試向け一般選抜ボーダー偏差値は、
45.0
です。
高1・高2向けの学部学科ランクでは42.5となっています。
医学部の67.5と比べると難易度は大きく異なりますが、看護師・保健師・助産師につながる専門教育を受けるため、入学後も継続的な学習が必要です。
2027年度看護学部入試
2027年度の看護学部募集人員は105名です。
内訳は、
一般選抜:約65名
学校推薦型選抜(指定校制):約40名
です。
一般選抜では、
国語
数学Ⅰ・A
の筆記試験に加え、
個人面接
調査書
によって総合的に評価します。
一般選抜の試験日は2027年1月30日、合格発表は2月5日の予定です。
看護学部の学費
2027年度看護学部の学生納付金は、
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 入学料 | 500,000円 |
| 授業料 | 850,000円 |
| 実験実習費 | 300,000円 |
| 施設設備費 | 200,000円 |
| 初年度合計 | 1,850,000円 |
です。
医学部のように全入学者を対象とした卒業後勤務による修学資金返還免除制度とは仕組みが異なるため、混同しないようにしましょう。
看護学部には男女の学生寮もあり、水道料込みで月額2万円と案内されています。
看護学部の就職・キャリア
看護学部では例年9割以上の学生が就職し、そのうち約9割が看護師、約1割が助産師・保健師として就職しています。
医療機関への就職者のうち、約6割が自治医科大学附属病院や附属さいたま医療センターなどへ進んでいます。
もちろん卒業生は大学附属病院だけでなく、
全国の病院
自治体
保健所
行政機関
などでも活躍できます。
看護師として高度医療に携わりたい人だけでなく、保健師として地域住民の健康を支えたい人にも適した大学です。
自治医科大学に向いている人
自治医科大学は、特に次のような高校生に向いています。
- 地域医療に強い関心がある人
- 医師として地元の医療を支えたい人
- へき地・離島医療に携わる覚悟がある人
- 幅広い疾患を診られる総合医を目指したい人
- 高い学力と継続的な学習力がある人
- 看護師・保健師の両方を目指したい人
- 助産師にも興味がある人
- 地域看護を学びたい人
特に医学部の場合、
「医学部へ入りたい」
だけでは不十分です。
「自治医科大学でなければならない理由」
が必要な大学です。
高1・高2から自治医科大学医学部を目指すなら
医学部を目指す高校1・2年生は、
英語
数学
化学・物理・生物
を早い段階から積み上げましょう。
偏差値67.5という難易度から考えても、高3になってから短期間で仕上げるのは簡単ではありません。
さらに地域医療について調べてください。
地元では、
どの地域で医師不足が起きているのか。
高齢化はどの程度進んでいるのか。
離島・山間地域の医療はどうなっているのか。
こうした問題に関心を持つことが、将来の面接対策にもつながります。
高3から目指すなら「学力+地域医療への理解」
高校3年生では、学力対策と並行して自治医科大学独自の制度を理解しましょう。
特に、
都道府県単位の選抜
全寮制
修学資金制度
卒業後約9年間の勤務
へき地等での勤務
は必ず理解してから出願してください。
医学部選びは6年間だけの話ではありません。
自治医科大学の場合は、卒業後の約9年間まで含めて進路を決める大学と考えた方がよいでしょう。
オープンキャンパスで確認したいこと
自治医科大学医学部の2026年度オープンキャンパスでは、
大学説明
模擬授業
卒業生体験談
学生寮見学
教育研究棟見学
メディカルシミュレーションセンター見学
修学資金相談
卒業後勤務相談
などが行われています。
特に医学部志望者は、
「卒業後の9年間をどのように過ごすのか」
を卒業生や大学スタッフへ直接質問するとよいでしょう。
看護学部志望者は、
看護師・保健師教育
助産師課程
附属病院での実習
地域看護
学生寮
国家試験対策
を確認することをおすすめします。
まとめ|自治医科大学は「地域医療を支える」という使命が明確な大学
自治医科大学は、栃木県下野市にある私立大学です。
設置学部は、
医学部医学科
看護学部看護学科
の2学部です。
医学部は1972年、地域医療を担う総合医の育成を目的として設立され、2025年3月までに5,113人の医師を輩出しています。
2027年度医学部では、全国47都道府県から原則2~3名ずつ、合計100名を選抜する予定です。
そして卒業後は出願した都道府県へ戻り、一般的に約9年間、知事の指示のもと地域医療に従事します。そのうち原則4~5年間はへき地等で勤務します。
修学資金制度によって入学金・授業料等の学生納付金相当額が貸与され、所定の勤務条件を満たせば返還が免除されます。
2026年の医師国家試験では合格率100%・全国1位。2027年度入試向け河合塾ボーダー偏差値は67.5です。
一方、看護学部では、
看護師+保健師を全員が目指せる
ことに加え、選考によって助産師国家試験受験資格も取得できます。
2027年度一般選抜ボーダー偏差値は45.0、募集人員は105名です。
自治医科大学を選ぶうえで最も重要なのは、
「偏差値が高いから」
「医学部の学費負担を抑えられるから」
という理由だけで決めないことです。
医師として都市部の大病院だけで働くのではなく、医療資源の少ない地域にも赴きたい。
住民の生活そのものを理解しながら診療したい。
幅広い疾患を診られる医師になりたい。
看護師・保健師として病院と地域の両方を支えたい。
こうした考えを持つ人にとって、自治医科大学は非常に特徴的な進学先です。
大学への合格はゴールではありません。
特に医学部の場合は、6年間の大学生活と、その後約9年間の地域医療までを一つのキャリアとして考えることが必要です。
だからこそ自治医科大学を志望するなら、
「医師になりたいか」だけではなく、「地域医療を担う医師として生きたいか」
まで自分自身に問いかけたうえで、受験を決めることが重要です。

